ペットちゃんとのお別れの時…子どもは立ち会ったほうがいい? 子どもがペットロスになったら?

ペットちゃんとのお別れの時…子どもは立ち会ったほうがいい? 子どもがペットロスになったら?

 

ペットちゃんとの、最後のお別れ……。

よく、ご家族様から「子どもを立ち会わせても良いのでしょうか」とご質問をいただきます。

大好きなペットちゃんが、「骨」になるというその現実……。小さな心で何を感じるのかと想像すると、確かに心配になりますよね。

「子どもとペットちゃんの火葬」についての私の考えや、子どものペットロスへの対処法をお伝えします。

ペットちゃんの火葬を通して、子どもは「命」を知る

「火葬に子どもを立ち会わせても良いのでしょうか」とご相談いただくたびに、私は「ぜひ立ち会ってください」とお話をします。

ペットちゃんとの別れはつらいですが、「命」と向き合うチャンスでもあります。

生きものには命があるということ、いつかその命は尽きること、尽きた命は火葬を経てお空へ還ること……。火葬に立ち会うことで、お子さんは命の重みを体感できるのではないでしょうか。

ペットちゃんたちは、生涯をかけて、私たちにさまざまなことを教えてくれます。

生きている間はもちろん、命が尽きてしまった後も……。

ペットちゃんの死と火葬を通して、子どもは「命とは何か」を知ります。悲しい現実に、涙が流れることもあるでしょう。しかしその経験をしたからこそ、自分の命を大事にしたり、親孝行してくれたり、人に優しくしたりなど、あらゆる成長の種が芽吹くのではないでしょうか。

ただ、年齢や性格によっては、「大好きなペットが骨になった」という事実を受け止めきれずに塞ぎ込んでしまったり、そもそもなぜ動かないのか理解できなかったりすることもあるでしょう。そのため一概に「立ち会うことをおすすめします」とは言いにくい部分があるのは事実です。お子さんの発達段階に応じて検討するのがベストでしょう。

「死」がよくわからない、低年齢の子どもはどうする?

一般的に、「死」を理解できるのは5歳からだといわれています。

ただ、5歳未満のお子さんでも、「いつも元気なペットがなぜか動かない」という客観的な事実は理解できるでしょう。

無理強いはできませんが、お子さんが大丈夫そうであれば、ぜひ一緒にお見送りをしてあげてください。

5歳未満のお子さん

未就学のお子さんは、「死」についてほとんど理解できないとされています。

死について解説するよりも、「お星さまになったの」「空から見守ってくれているの」など、ファンタジーな表現を使うとなんとなく分かってくれるかもしれません。

「どうしてもう会えないの」と頻繁に聞いてきたら、少しだけ「死」について触れても良いかもしれませんね。道端で死んでいるアリやミミズなど、身近な生きものを例にすると、理解のサポートになるでしょう。

今はまだ「死」の概念がわからなくても、少し大きくなってきたら「あのとき、ペットはずっと寝ているみたいに静かだった。なぜか体が冷たかった。ママは『死んでしまった』と泣いていた。泣いているママを見ているのがつらかった」など、客観的かつ断片的な思い出として少しずつ「わかる」ようになっていくはずです。

小学校低~中学年のお子さん

小学校低~中学年になると、「死」がおよそ理解できるようになります。

ただ、「ぼくもいつか死ぬの?」「ママが死んだらどうしよう」など恐いイメージを持っている場合が多いでしょう。

「ペットは死んだ」という事実を理解していて、さらにお子さんの心がこわばっているなら、「死」について教えるチャンスです。

死は誰にでもいつかは訪れるということ、だから自分の命も他人の命も大事にしなければならないということなどを、やさしく教えてあげてください。

特に低~中学年は、無邪気に虫を殺生しがちです。「命は大切で、一つひとつの命に人生があって心があって、失ったらもう戻らない」ということを知れば、人に限らず、どれほど小さな生きものに対しても思いやりを持てるのではないでしょうか。

小学校高学年のお子さん

小学校高学年になると、「死」についてほとんど理解しています。

ペットちゃんが亡くなったときも、大人と同じような反応をするでしょう。

ただ、高学年は思春期に入りかかっています。

本当は泣きたいのに感情を押し殺してしまったり、心を閉ざしてしまったりなど、心に大きなダメージを負うケースは少なくありません。お子さんの状態を見極めて、家族一丸となってサポートしてあげてください。

子どもに「立ち会わせない」のも、ひとつの選択肢

お子さんの状態によっては、火葬の現場に立ち会わないほうが良いケースもあります。

お子さんとご相談のうえ、立ち会う・立ち会わないを決めるのもひとつの方法です。

もしご本人が「つらいから立ち会いたくない」と言ったり、すでにペットロスになりかけていて立ち会うことで悪化しそうだったりしたら、無理に「立ち会う」を選ぶ必要はありません。

お子さんが幼稚園や学校に行っている間に火葬することも可能なので、ご家族で話し合いのうえ、ぜひ後悔のない選択をしてください。

子どもがペットロスになったら

ペットちゃんの死をきっかけに、子どもがペットロスを発症することは珍しくありません。

泣いて、塞ぎ込んで、つらそうな子どもを見ていると、親の胸も張り裂けそうになりますよね。

ペットロスを克服するには、まずは子ども自身が「感情を全部吐き出すこと」が大切です。

涙を存分に流したり、信頼できる友人に話を聞いてもらったり、家族で気持ちを分かち合ったりして、悲しみと正面から向き合ってください。

1日2日では立ち直れないかもしれません。しかし毎日繰り返すことで、少しずつ心に変化が訪れるでしょう。

子どもが落ち着いてきたら、ペットちゃんとの思い出を振り返りましょう。

丁寧に記憶をたどることで、だんだんと気持ちの整理がついていくはずです。

たとえば、

 

・ペットちゃんの写真をたくさん収めたアルバムをつくる

・ペットちゃんの絵を描く

・ペットちゃんへの手紙を書く

・家族とペットちゃんにまつわる思い出話をする

・ペットちゃんとの思い出の道を散歩する

……などがおすすめです。

 

ペットちゃんとの思い出を振り返りながら、お子さんはどのようなことを話すでしょうか。

「あのときは楽しかったね」など前向きなものでしょうか、それとも「もっと〇〇してあげていたら」などの自己嫌悪や後悔の言葉……?

「話すのはつらい」というのなら、手紙に自分の気持ちをしたためる方法もあります。文章としてまとまっていなくても構いません。たくさんの愛情やつらい気持ちを、ペットちゃんへ向けて、そして自分自身にも向けて存分に書き綴ってください。

どちらにしても大切なのは、子どもの気持ちに寄り添ってあげること。

アドバイスや否定は必要ありません。傷ついた心に、ただそっと寄り添うだけで良いのです。

お子さんは今、ペットちゃんの死を少しずつ受け入れ始めています。「話したければ話してね。話したくなければ構わないよ」というおおらかなスタンスで、歩みを共にしてあげましょう。

ペットロスは、ある瞬間にパッと改善するものではありません。

一進一退、1mm 2mmの歩幅で、いつでもお子さんの横にいてあげてください。

まとめ

ペットちゃんの死や火葬を通して、子どもは「命」を学ぶことができます。

お別れするのはつらいですが、ペットちゃんはその命を持って、私たち人間にさまざまなことを教えてくれるのです。

命の重みを知った子どもは、きっと心優しい子に育つでしょうね。

ただ、お子さんの状態によっては、立ち会うことでペットロスが悪化するケースもあるので、ご家族で慎重に話し合ってください。

「大好きなペットだから見送る」という考え方。

「大好きなペットだからこそ見送れない」という考え方。

どちらが正しくてどちらが間違っているとは言えません。ただ、お子さんが小さな心で考え抜いて出した結論なら、その意思を尊重してあげましょう。

ご家族で話し合って、ぜひ後悔のない選択をしてくださいね。

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