高齢者は本当に新しいペットを迎える事ができないのか?

高齢者は本当に新しいペットを迎える事ができないのか?

 

私は今日まで、たくさんのペットちゃんのお見送りをさせていただきました。

同時に、ペットロスに苦しむたくさんの方も見てきました。

ペットちゃんと死別した高齢者の方は、「またペットと暮らしたい気持ちはある。でも、年齢的なことを考えると、もうペットを飼わないほうが良いのではとも思う」など、葛藤する心境を私によく聞かせてくれます。

ペットちゃんの幸せを考えて、自分の気持ちを抑えながら「新しいペットを迎えない」という選択肢を取る高齢者の方々……。

高齢者は本当に、もう新しいペットを飼わないほうが良いのでしょうか?

高齢者とペットの現実

新しいペットの存在で、ペットロスから回復するケースは少なくありません。

ペットロスに苦しむ高齢者も、新しいペットとの生活を希望しているものの、「自分にはできない」と断念しがちです。理由を聞くと、ほとんどの方が「私が要介護状態になったときや先に他界したときなどに、ペットの面倒を見てくれる人がいないから」と言います。

ペットを想うあたたかな気持ちに、私はいつも胸が熱くなります。

しかし私は、「高齢者だから諦める」のではなく、「高齢者だからこそ飼ってほしい」と思うのです。

孤独を感じがちな高齢者だからこそ、ペットちゃんの存在がこれからの人生をやさしく照らしてくれるはず。

たとえば、高齢者がペットを飼育することで、以下のようなメリットが考えられるでしょう。

 

・ペットロスからの回復

・話し相手になってくれる

・心を癒してくれる

・一緒に散歩すると健康にも良い

・ペット友達ができると孤立防止にもなる

・ペットを介して周囲とコミュニケーションが取りやすくなる

・気持ちが前向きになる

・新しい生きがいを見つけられる

 

ペットちゃんは、いつでも私たちに癒しや喜びをくれます。きっと素晴らしいパートナーとなって、これからの人生を支えてくれるでしょう。

いくつかの注意点を意識すれば、高齢者が新しいペットを迎えるのは不可能ではありません。

これからの幸せのためにも、またペットちゃん自身の幸せのためにも、おだやかな日々を一緒につむいでいってください。

高齢者が新しいペットを迎える際に考えるべきこと

高齢者の方は、年齢的になにかと不便が生じがちです。

ペットちゃんのお世話が満足にできなくなる可能性があるので、新しいペットちゃんを迎える前には以下のリスクを頭に入れておきましょう。

ペットの世話ができなくなるリスク

高齢者の方が関節に痛みを抱えたり認知症になったりして、世話や散歩などが難しくなることがあります。

高齢者が自宅から離れるリスク

入院したり老人ホームに入ったりして、長期間家を空けることがあるかもしれません。

ペットが要介護状態になるリスク

昨今、「老老介護」が話題になりました。生後間もないペットであっても、あるいは成熟したペットであっても、病気や怪我で介護が必要になるケースが無いとは言いきれません。

そのようなとき、誰かペットの世話をしてくれる人はいますか? 同居しているご家族がいるなら相談が必要ですし、一人暮らしならさらに注意が必要です。

高齢者が安心して新しいペットを迎えるには

ペットは、人間の良いパートナーになってくれます。もちろん高齢者の方も例外ではありません。

しかし新しいペットちゃんをお迎えする前には、万が一を考えて、ペットちゃんが生きていくための道を先につくってあげてください。

高齢者も新しいペットも、誰もが幸せになるための「準備」を3つ紹介します。

気軽に相談できる相手を見つけておく

身の周りに、話し相手はいますか?

これから、ペットちゃんやご自身のことなどさまざまな悩みが出てくるかもしれません。

ご家族をはじめ、獣医師やご近所の愛犬家など、さまざまな人とつながりを持つことは大切です。

気になることがあったらすぐに相談できる相手がいれば、なにかと安心でしょう。

万が一のときにペットを託せる相手を見つけておく

あまり考えたくないことではありますが、人生は何が起こるかわかりません……。万が一のときにペットを託せる相手も、あらかじめ決めておくことをおすすめします。

ご家族がいれば相談したり、ペット仲間に頼んだり、引き取ってくれる里親を探すのも良いでしょう。

決まったら、終活ノートにメモしておきましょう。ペットちゃんの性格や好きな食べ物なども記しておくと、よりスムーズに引継いでもらえますよ。

なお、引き取った相手が困らないように、あらかじめワクチン接種やノミ・ダニ予防の処置などを済ませておいてください。

ペットシッターのサービスを検討する

お近くに、ペットシッターのサービスはありますか?

ペットシッターは、飼い主の自宅まで直接うかがい、世話や散歩などをしてくれます。

民間業者のサポートがあれば、新しいペットちゃんとの生活がより快適になりそうですね。

老犬ホームや老猫ホームを検討する

最近では老犬ホーム(または老猫ホーム)に預ける方も珍しくありません。

人間に老人ホームがあるのと同じように、ペットもシニアになると老犬ホームに入れるようになるのです。

老犬ホームでは、専門の獣医師や動物介護士などが24時間体制でペットちゃんのお世話をしてくれます。短期から終身まで、預かり形態も多様です。

サービス内容は、日常の介助や遊びなど飼い主さんがご家庭でおこなっている事柄がほとんど。何より、専門の医師とすぐにつながれる状態にあるのはペットちゃんにも飼い主さんにも大きな安心になりますね。

なお老人ホームの中には、「ペットとの入居可」としている物件もあります。お近くにないかどうか、ぜひ探してみてください。

しかしペットちゃんの性格によっては、慣れない場所だと不安がることも。

急に環境が変わるストレスを軽減するため、親戚の家やペットホテルなど、短期間の預かりをあらかじめ何度か繰り返すと良いでしょう。

ペットを飼育しなくても、触れ合える場所はたくさんある

ペットとの生活は、高齢者の心身に良い影響を及ぼします。

ペットロスに悩まれていた方も、新しい生きがいを見つければ気持ちが回復するのではないでしょうか。

高齢者が新しいペットちゃんと過ごすための方法を紹介してきましたが、「それでもやっぱり……」という方もいるでしょう。ご自身の体調やペットちゃんの幸せを考えたうえで出した結論なのですから、ぜひその意思を尊重してください。

新しいペットを自宅に迎えなくても、ペット(動物)と触れ合う方法はいくつもあります。

親戚の家

親戚の家でペットを飼っているなら、存分に触れ合うチャンスです。

家が近くなら直接行っても良いですし、ペットと一緒に自宅へ遊びに来てもらっても良いですね。

ペットを通してコミュニケーションも取れるので、きっと会話も弾むでしょう。

保護犬カフェや保護猫カフェなど

インターネットの普及にともない、「ペットの里親になる」という選択肢が浸透してきました。

保護犬や保護猫のカフェも増えてきて、街角の店舗はもちろん大きなショッピングモールにもお店が入っているほど。

かわいいペットと存分に触れ合う時間は、高齢者の心も体も癒してくれるはずです。

お気に入りの子に会いに何度も通う方も珍しくありません。

子ども支援学校

最近では、子ども支援学校でペットと触れ合える施設もあります。

やはりペットには、年齢に関係なくすべての人を癒してくれる力があるのですね。ペットはもちろん、元気な子どもたちも間近に見ることで、きっと大きな元気をもらえるでしょう。

ぜひ、お近くにそのような施設がないか探してみてください。

まとめ

高齢者の方が新しいペットを迎え入れることは、不可能ではありません。

ただ万が一のことを考えて、ペットのサポートサービスや預け先をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

ペットには、人を癒してくれたり成長させてくれたりする力があります。新しいペットちゃんは、きっと良きパートナーとなって、最後まであなたと共に人生を歩んでくれるでしょう。

生きがいがあると、人は前向きになります。

「心と体の健康のために」

そして何より、「ペットといるのが大好き」……

その素直な思いを、どうか大切になさってください。

メモリーズコラム