ペット同士の「ペットロス」 ~残されたペットちゃんに、飼い主ができること~
心に傷を負ったペットちゃんが幸せに暮らせるよう、やさしく包んであげてください。
ペットを複数飼っている場合、その中の一匹が亡くなると、残されたペットちゃんにいつもと違う行動や反応がみられることがあります。
これは「ペットロス」とよばれ、人間に起こるペットロスと似たようなものとされています。
旅立ったペットちゃんも、残されたペットちゃんも、飼い主さんにとっては家族の大事なメンバー。悲しみを抱えているなら、できるだけ取り除いてあげたいですよね。
この記事では、ペットに起こる「ペットロス」の症状や飼い主さんができることを紹介します。残されたペットちゃんも、飼い主さんも、心穏やかに過ごせる日が早く戻ってきますように……。
ペットロスを経験するペットは6割以上
同居しているペットが旅立つと、残されたペットちゃんの多くはペットロスを経験するそうです。
ある調査によると、ペットの死をきっかけにペットロスを発症したペットちゃんの割合は、犬も猫も約6割。すべてのペットちゃんに該当するわけではありませんが、ペットロスを発症する可能性はかなり高いといえるでしょう。
大事なペットの死後、残されたペットちゃんに「あれ?」と感じるようなことがあれば、それはペットロスかもしれませんね……。
ペットに発症したペットロス、どのような症状になるの?
ペットが亡くなるとペットロスになるのは、残されたペットちゃんも人間も同じです。
しかしペットロスの症状は、人間が主に「鬱」や「食欲不振」なのに対して、ペットちゃんの場合は少々異なるようです。
たとえば、
・亡くなったペットのケージの周辺をうろうろ
・亡くなったペットを探して家中をうろうろ
・亡くなったペットが好きだった場所から離れなくなった
・飼い主の側から離れなくなった
・飼い主に今までよりも甘えるようになった
・食欲が落ちた
・今まで興味のあったことに興味を示さなくなった
・無駄吠えや遠吠え
・夜鳴き
・元気がない
・散歩中にそわそわする
……などが代表的です。
ペットちゃんによって、あらわれる症状や程度はさまざまです。
しかし旅立った仲間と仲が良かったペットは、重症化しやすい傾向があるようです。
たとえば人間だったら、家族同士でつらさを共有したり、SNSで苦しい心境を吐き出したりできるでしょう。
しかし言語を持たないペットは、悲しみを吐き出す方法を知りません。どれほど心に傷を負っても、自分の中で消化していくしかなくて、それが結果としてペットロス特有の行動としてあらわれるのです。
ペットに発症したペットロス、どのくらい続く?
ペットロスは、人間の場合、数週間で収まる方から何年も続く方までさまざまです。しかしペットちゃんがペットロスを発症した場合、早くても1か月、遅くても半年程度で収まるケースが多いようです。
ただ、ペットちゃんによって回復までの期間は異なります。デリケートなペットちゃんなら1年以上続くことも珍しくありません。
いずれにしても、ペットの死をきっかけにいつもと違う行動をするようになったペットちゃんを、ただ見ているしかないのはつらいですよね……。
一緒に過ごしてきたペットのことを、残されたペットちゃんは生涯忘れることはないでしょう。ただ、「大好きな相手がいなくなった」という事実を、ペットちゃん自身がどう受け止めて消化するか……それこそがペットロス回復のヒントなのですが、言語を持たないペットちゃんに言葉で説明するのは難しそうです。
残されたペットちゃんの心を少しでも軽くするため、飼い主さんにできることはないのでしょうか。
ペットに発症したペットロス、飼い主はどう接したらいい?
ペットロスになったペットちゃん。
涙は流さなくても、行動の節々から悲しみが伝わってくるので、飼い主さんの心はギュッと締め付けられるでしょう……。
残されたペットちゃんの心を、魔法のように瞬時に癒すことはできません。
私たち人間と同じように、基本的には時間が解決してくれるでしょう。
しかしその回復までの時間を少しでも早めるために、飼い主さんができることを4つ紹介します。
気分転換させてあげる
ペットちゃんがペットロスになったら、飼い主さんは“寄り添う”ことが大切です。
常にペットちゃんの状態を気にかけて、一緒に遊んだり、散歩したり。都合がつけば、遠い場所に旅行に連れていってあげるのも効果的でしょう。
“他のこと”で気が紛れるのは、人間もペットもそう変わりません。心の真ん中に悲しみがあったとしても、他のことをしていると徐々に気が紛れてくるものです。
ペットちゃんが回復するまで、やさしく寄り添ってあげてください。同じ悲しみを背負った者として、私たちは心と心で通じ合えるはずです。残されたペットちゃんに愛情を注ぐうちに、ペットちゃんの気持ちも、飼い主さんが抱えるペットロスも、少しずつ落ち着いていくでしょう。
飼い主さんが“いつも通り”に過ごす
ペットちゃんは常に飼い主さんのことを見ています。
ペットが亡くなって飼い主さんもつらいと思いますが、落ち込む姿を見せるとペットちゃんのペットロスが悪化することがあるのでご注意ください。
……とはいえ、大事なペットを亡くした後で元気に過ごすのは難しいもの。
1週間程度は、思いきり泣いたり悲しんだりして構いません。でもその後は、無理やりでも“いつも通り”に過ごすことをおすすめします。
感受性が強いペットちゃんほど、ペットの死から受けるダメージは大きいです。
だからこそ、飼い主さんが“いつも通り”に振る舞うことで、ペットちゃんを安心させてあげてくださいね。
食欲が戻るように工夫する
私たち人間もそうですが、悲しい出来事があると、食事が喉を通りにくいものです。
しかしペットちゃんが食欲不振になっているなら、飼い主さんが工夫して食べさせてあげましょう。
たとえばいつものフードにペットちゃんが大好きなものを混ぜてみたり、お皿ではなくて手で直接あげてみたりなど。
栄養を摂れないと今度は残されたペットちゃんの体調に影響が及びかねません。いろいろ工夫しても食欲が戻らないようなら、動物病院で相談することをおすすめします。
部屋の模様替えをする
亡くなったペットと残されたペットちゃんがとても仲良かった場合、家中を探し回ったり面影のある場所から動かなくなったりすることがあります。
死をすぐに受け入れられないのは当然ですが、そんな状態が長く続くのは心の健康に良くありません……。
ペットちゃんをペットロスから早く回復させるためには、思いきって部屋の模様替えをするのもひとつの方法です。面影があると、ペットちゃんはそこから動けないかもしれません。だからこそ、痕跡がなくなるように、家具もカーテンもすべて一新するのです。いわゆる遺品整理ですね。
ペットちゃんは最初こそ戸惑うかもしれませんが、日が経つにつれて新しい生活に慣れるはず。さらに新しいおもちゃやおいしいおやつを与えてあげれば、かなり気が紛れるのではないでしょうか。
まとめ
ペットロスを発症するのは、人間だけではありません。
ペットを複数飼っている場合、残されたペットちゃんがペットロスになることがあるのでご注意ください。
悲しむペットちゃんのため、飼い主さんは今まで以上に一緒に過ごしてあげたり、あえていつも通りに振る舞ったり、おいしいフードをあげたり、部屋の模様替えをしたりなど、ペットちゃんの状態を気にかけつつ工夫することが大切です。
ケアを続けていくうち、時間がゆるやかに悲しみを消化してくれるでしょう。
もし、家族全員の気持ちが落ち着いたら、新しいペットをお迎えしてはいかがでしょうか。
残されたペットちゃんの良きパートナーとして、きっと新たな絆を築いてくれるはず。
あせらず、長い目で見ながら、丁寧に。
心に傷を負ったペットちゃんが幸せに暮らせるよう、やさしく包んであげてください。