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2026.09.18

コラム記事

5000件以上のお見送りをしてきて感じること

同じお別れは、ひとつもありません

私はこれまで、熊本県内を中心に、5000件以上のペットちゃんのお別れに立ち会わせていただきました。

ワンちゃん、猫ちゃん、うさぎちゃん、ハムスターちゃん、小鳥ちゃん。

長い年月をご家族と一緒に過ごした子もいれば、まだまだ一緒にいられると思っていた中で、突然旅立ってしまった子もいます。

5000件以上のお見送りをさせていただいても、同じお別れはひとつとしてありませんでした。

ペットちゃんの性格も違います。

ご家族との思い出も違います。

一緒に過ごしてきた年月も違います。

そして、最後のお別れの時間の過ごし方も、それぞれ違います。

涙が止まらず、何度も何度も名前を呼ばれるご家族。

最後まで身体を撫でながら、「ありがとう」「よく頑張ったね」と声をかけられるご家族。

思い出話をしているうちに、涙の中に少し笑顔が戻るご家族。

静かにそばに座り、言葉にせず見送られるご家族。

私は5000件以上のお見送りをさせていただく中で、ひとつ強く感じるようになりました。

お別れには「こうしなければならない」という決まった形はないということです。

その子とご家族にしか分からない時間があり、その子とご家族にしかできないお別れがあります。

涙が止まらなくてもいい

大切なペットちゃんとの最後のお別れ。

頭では分かっていても、気持ちがついていかないことがあります。

「もう少しだけ、このままでいたい」

そう思われるのは、とても自然なことだと思います。

何度も身体を撫でながら、

「ありがとうね」

「よく頑張ったね」

「ずっと大好きだからね」

そう声をかけられる姿を、私は何度も見てきました。

なかなか最後のお別れができず、そばから離れられない方もいらっしゃいます。

それだけ長い時間、その子を家族として大切にしてこられたのだと思います。

大好きな子の身体に触れられる最後の時間。

私は、できる限り急いでほしくないと思っています。

その時間も含めて、その子との最後のお別れだからです。

思い出話をして、笑ってもいい

お別れの時間に、笑い声が聞こえることもあります。

「この子、本当に食いしん坊だったんですよ」

「散歩って言っただけで玄関まで走って行って」

「知らない人には最初だけ吠えるのに、すぐ尻尾を振るんです」

「若い頃は脱走して、本当に困らされました」

そんなお話を聞かせていただくことがあります。

泣きながら話されていたご家族が、いつの間にか少し笑顔になっていることもあります。

私は、そんな時間が好きです。

お別れだからといって、ずっと悲しい顔をしていなければならないわけではありません。

一緒に暮らしてきた中には、悲しい思い出より、きっと楽しかった思い出の方がたくさんあるはずです。

困らされたことも、怒ったことも、今振り返れば大切な思い出になっていることがあります。

最後にその子の話をたくさんして、笑ってあげる。

それも、その子らしいお見送りのひとつだと思います。

涙が出なくても、愛情がなかったわけではありません

反対に、お見送りの時に涙が出ない方もいらっしゃいます。

悲しみの表れ方は、人によって違います。

すぐに涙が出る方もいれば、まだ現実として受け止められず、静かに見送られる方もいます。

火葬が終わり、ご自宅に戻ってから。

いつもの場所を見た時。

ご飯のお皿を見た時。

リードや首輪を見た時。

ふと名前を呼びそうになった時。

その瞬間に初めて、「本当にいなくなったんだ」と感じることもあると思います。

涙の量で、その子への愛情の大きさが決まるわけではありません。

一緒に過ごしてきた時間そのものが、ご家族からその子への愛情だったのだと思います。

最後に何を話しかければいいのだろう

大切な子とのお別れを前にすると、何を言えばいいのか分からなくなることがあります。

私は、特別な言葉を探さなくてもいいと思っています。

「ありがとう」

「頑張ったね」

「楽しかったよ」

「うちに来てくれてありがとう」

「大好きだよ」

それだけでも十分です。

そして、いつも呼んでいた名前を呼んであげてください。

その子が何千回、何万回と聞いてきた、大好きなご家族の声です。

最後だからと特別な言葉に変える必要はありません。

いつもの声で、いつものように名前を呼んであげる。

それが一番その子らしいお別れなのかもしれません。

小さなお子様も、その子なりのお別れをしています

小さなお子様が一緒にお見送りをされることもあります。

生まれた時からそばにワンちゃんがいた。

いつも一緒に猫ちゃんと遊んでいた。

そんなお子様にとって、その子は「ペット」ではなく、兄弟や友達のような存在だったのかもしれません。

まだ「亡くなる」ということを十分に理解できない年齢でも、

そっと身体を撫でてあげたり、

「ありがとう」

「バイバイ」

と声をかけたりする姿があります。

大人と同じようにお別れをする必要はありません。

その子なりの方法で、大好きだった家族にお別れをする。

私は、その時間も大切にしてあげたいと思っています。

「先に旅立った子がお迎えに来てくれるかな」

5000件以上のお見送りの中で、何度も聞いてきたお話があります。

「この子には、先に亡くなった仲良しの子がいるんです」

「向こうで会えているかな」

というお話です。

いつも一緒に寝ていた子。

毎日一緒に散歩をしていた子。

ご飯を並んで食べていた子。

先に一匹が旅立ってから、どこか寂しそうにしていた子。

本当に天国がどこにあるのか、そこで再会できるのか、私には分かりません。

それでも私は、

また会えていたらいいな

と思います。

先に旅立った子が、

「遅かったね」

と迎えに来てくれているかもしれません。

そして、以前のように一緒に走ったり、寄り添って眠ったりしている。

そんな姿を想像すると、悲しいお別れの中にも、ほんの少し優しい気持ちが生まれることがあります。

長生きしたから、寂しくないわけではありません

15歳、17歳、18歳。

中には20歳を超えて、ご家族と長い年月を過ごした子のお見送りもあります。

「十分長生きしてくれました」

そうお話しされるご家族もいらっしゃいます。

けれど、何年一緒に過ごしても、お別れが寂しくなくなることはないと思います。

むしろ長く一緒にいたからこそ、その子がいる生活が当たり前になっています。

朝起きればそこにいる。

ご飯をあげる。

散歩へ行く。

名前を呼ぶ。

眠っている姿を見る。

何気ない毎日の中に、いつもその子がいたのです。

だから、

「十分長生きしてくれた」

という感謝と、

「もう少し一緒にいたかった」

という気持ちは、両方あっていいのだと思います。

その子らしいお別れでいい

私は、お別れに決められた形は必要ないと思っています。

たくさん話しかけてあげたい。

静かに見送りたい。

大好きだったおやつをそばに置いてあげたい。

お気に入りだったものと一緒に送り出してあげたい。

最後まで身体を撫でていたい。

どれが正しくて、どれが間違っているということではありません。

大切なのは、

「この子に最後に何をしてあげたいか」

だと思います。

その答えを一番知っているのは、私たちではありません。

毎日一緒に暮らし、その子の性格も好きなものも、嫌いなものも知っているご家族です。

だからメモリーズでは、決められた形にご家族を合わせるのではなく、できる限りその子とご家族に合ったお見送りを大切にしています。

5000件以上のお見送りをしても「慣れる」ことはありません

この仕事を長く続け、5000件以上のお見送りをさせていただきました。

それだけ聞くと、

「もう慣れているでしょう」

と思われるかもしれません。

でも、私は一件一件のお別れを「いつものこと」にしたくありません。

私たちにとっては5000件の中の一件でも、ご家族にとっては、大切なその子のたった一度のお別れだからです。

昨日伺ったご家族と、今日伺うご家族は違います。

昨日旅立った子と、今日旅立つ子も違います。

そこには、その子が生きてきた十数年、あるいは数年間の物語があります。

それを「いつもの仕事」として扱ってはいけない。

5000件以上のお見送りを経験した今だからこそ、以前より強くそう思うようになりました。

火葬することだけが、私たちの仕事ではない

訪問ペット火葬という仕事は、火葬車でご自宅へ伺い、ペットちゃんを火葬する仕事です。

けれど私は、火葬をすることだけが、この仕事ではないと思っています。

最後までその子を大切な家族として扱うこと。

ご家族が話したい時には、その子のお話を聞くこと。

お別れに時間が必要なら、その気持ちを大切にすること。

そして、ご家族がいつかその日を振り返った時に、

「ちゃんと見送ってあげられた」

と思っていただけるお別れにすること。

それが、私たちの役目だと思っています。

同じお別れは、ひとつもありません

熊本県内を火葬車で走っていると、本当にいろいろな場所へ伺います。

街の中のお家もあります。

山や田んぼに囲まれた静かな場所もあります。

その子が毎日散歩をしていた道の近くで、お見送りをすることもあります。

場所も違います。

ご家族も違います。

そして旅立つペットちゃんも、一匹一匹違います。

5000件以上のお見送りをしてきましたが、これから先、何件のお別れに立ち会わせていただいても、この気持ちは変わりません。

その子が生きてきた時間が世界にひとつしかないように、お別れの時間も世界にひとつです。

大好きだった子を送り出すご家族が、いつか振り返った時、

「うちの子らしいお別れができた」

「ちゃんとありがとうを伝えられた」

そう思っていただけること。

そして最後の最後まで、その子を大切な家族の一員としてお見送りすること。

それが、熊本ペットの訪問火葬メモリーズが、5000件以上のお見送りを経験した今も、そしてこれからも、一件一件のお別れで大切にしていきます。