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2026.08.20

コラム記事

天国のあの子に胸を張れるように――私がペットの訪問火葬を始めた理由

あの日のことは、今でもはっきりと覚えています。

もう立つのもやっとだったはずのあの子が、ふらつきながら、それでも私のもとへ歩いてきた姿。

何も言わず、ただそっと寄り添ってくれたその体温に、私は初めて気づきました。

――この子はずっと、私を見てくれていたんだ、と。

その瞬間、胸の奥に押し込めていた後悔が一気にあふれ出しました。

「もっと一緒にいてあげればよかった」

「もっと優しくしてあげればよかった」

そして私は、あの子を見送ったあとも、その想いから離れることができませんでした。

今、私は「熊本ペットの訪問火葬メモリーズ」として、大切なペットちゃんとの最後のお別れのお手伝いをさせていただいています。

これまで5,000件以上のペットちゃんのお別れに立ち会わせていただきました。

けれど、私がこの仕事を始めたきっかけは、最初から動物に関わる仕事がしたかったからではありません。

始まりは、一緒に暮らしていた一匹のワンちゃんでした。

そして、その子が私に教えてくれた大切なことでした。

あの頃の私は、自分のことでいっぱいでした

そのワンちゃんと暮らしていた頃、私は自分の生活や自分のことでいっぱいでした。

もちろん、大切な家族でした。

でも今振り返ると、十分にかまってあげることができていなかったと思います。

もっと一緒に遊んであげることもできた。

もっと声をかけてあげることもできた。

もっとそばにいてあげることもできた。

けれど、その頃の私は「この子がいる毎日」が、これからもずっと続くような気がしていました。

明日もいる。

来年もいる。

また時間がある時にかまってあげればいい。

そんなふうに、どこかで思っていたのかもしれません。

でも、時間は待ってくれません。

月日が流れ、元気だったワンちゃんも少しずつ歳を重ねていきました。

目も見えにくくなり、耳も聞こえにくくなりました。

足も弱り、歩くことさえやっとになっていました。

それでも、あの子は変わらず私のそばにいてくれました。

私がつらかった時、あの子は歩いてきてくれました

そんな頃、私自身が精神的に落ち込み、とてもつらい時期がありました。

自分のことで精一杯で、心にも余裕がありませんでした。

そんな私の様子を、あの子はきっと感じ取っていたのでしょう。

もう歩くことさえ大変だったはずなのに、一歩、一歩、ゆっくりと私のところまで歩いてきました。

そして何をするわけでもなく、ただ私のそばにいてくれました。

その姿を見た時、私は初めて気づいたのです。

私は十分にかまってあげられなかったかもしれない。

自分のことばかり考えていた時もあった。

それでも、この子は私のことをずっと大好きでいてくれたんだ、と。

ペットちゃんの愛情は、何かをしてもらったから返すというものではないのかもしれません。

ただ家族だから。

ただ大好きだから。

そばにいたい。

あの子は、そのことを私に教えてくれたような気がしました。

そして、あの子は天国へ旅立ちました

それからしばらくして、あの子は天国へ旅立ちました。

旅立ったあと、私の心に残ったのは後悔でした。

「もっと一緒にいてあげればよかった」

「もっと大切にしてあげればよかった」

「もっとたくさん名前を呼んであげればよかった」

「もっとありがとうを伝えておけばよかった」

考えれば考えるほど、できなかったことばかりが浮かんできました。

時間を戻せるなら、もう一度あの頃に戻りたい。

そう思ったこともあります。

けれど、どれだけ願っても時間を戻すことはできません。

そして長い時間が経った今、私は少し違うことを思うようになりました。

もしかすると、あの子は私に後悔してほしくて、最後に歩いてきてくれたのではなかったのかもしれない。

「大丈夫?」

「僕はここにいるよ」

「ずっと大好きだよ」

ただ、それを伝えたかったのかもしれません。

「ごめんね」ばかりでは、ペットちゃんも心配するかもしれません

これまで5,000件以上のお別れに立ち会わせていただく中で、ご家族からたくさんの言葉を聞いてきました。

「もっと早く気づいてあげればよかった」

「あの時、違う選択をしていれば」

「もっと一緒にいてあげればよかった」

「この子は幸せだったのでしょうか」

そのお気持ちは、私にも分かります。

私自身が、同じような後悔を抱えていたからです。

でも今は、一つ思うことがあります。

ペットちゃんは、ご家族のことが大好きです。

生きている時、ご家族が悲しんでいればそばに来てくれた子もいるでしょう。

泣いていると顔をのぞき込んでくれた子。

何も言わず隣に座ってくれた子。

いつもと様子が違うと、心配そうについてきてくれた子。

旅立ったからといって、その気持ちまでなくなるとは、私は思えません。

もし天国へ向かおうとしているペットちゃんが、大好きなご家族が自分を責めながら毎日泣いている姿を見たら、どう思うでしょう。

「大丈夫かな」

「まだ泣いているな」

「もう少しそばにいてあげたいな」

そんなふうに心配して、なかなか安心して天国へ向かえないのかもしれません。

だからといって、悲しんではいけないということではありません。

大切な家族を失ったのですから、悲しいのは当たり前です。

泣きたい時は、たくさん泣いていいと思います。

後悔することだってあるでしょう。

ただ、その後悔でずっと自分自身を責め続けなくてもいいのではないでしょうか。

少しずつでいいのです。

「ごめんね」を、

「ありがとう」に変えていく。

「もっとしてあげればよかった」を、

「一緒にいてくれて幸せだったよ」に変えていく。

そしていつか、

「もう心配しなくて大丈夫だよ」

「安心して天国へ行っておいで」

そう伝えてあげる。

それも、大切なペットちゃんへの一つの供養なのではないかと私は思っています。

あの子との別れが、この仕事の始まりでした

あの子が旅立ってから、私はペットちゃんと何かの形でつながっていたいと思うようになりました。

そして、いろいろと調べていく中で知ったのが「訪問移動火葬」というお別れの形でした。

ご家族とペットちゃんが一緒に過ごしてきた思い出の場所へ伺えること。

住み慣れたご自宅で、ゆっくりお別れの時間を過ごせること。

ご家族のご希望に合わせた時間や、夜のお別れにも対応できること。

ご家族によって違う、それぞれのお別れの形を大切にできること。

「この仕事なら、あの子が私に教えてくれたことを、これから出会うペットちゃんやご家族につないでいけるかもしれない」

そう思いました。

それが、「熊本ペットの訪問火葬メモリーズ」の原点です。

5,000件以上のお別れが教えてくれたこと

この仕事を始めてから、5,000件以上のペットちゃんとのお別れに立ち会わせていただきました。

けれど、一つとして同じお別れはありませんでした。

その子の性格。

ご家族と過ごした年月。

大好きだった食べ物。

いつも寝ていた場所。

一緒に歩いた散歩道。

家族だけが知っている癖。

一匹一匹に、その子だけの人生があります。

そして、ご家族とペットちゃんだけの物語があります。

お別れの時、ご家族からその子の思い出を聞かせていただくことがあります。

涙を流しながらお話しされていたご家族が、

「この子、本当に食いしん坊だったんですよ」

「いつもここで寝ていてね」

「家族には本当に甘えん坊でした」

と話されるうちに、ほんの少しだけ表情が優しくなることがあります。

私は、その時間をとても大切にしています。

悲しいだけがお別れではありません。

一緒に過ごしてきた幸せな時間を思い出し、

「うちに来てくれてありがとう」

と伝える時間でもあると思うからです。

お別れが終わったあとも

火葬が終われば、悲しみまで終わるわけではありません。

数日後、数週間後、時には数か月経ってから、急に寂しさが込み上げてくることがあります。

いつも寝ていた場所が空いている。

ご飯の時間になっても、待っている子がいない。

一緒に歩いた道を通ると思い出す。

写真を見るだけで涙が出てしまう。

そんなご家族から、ご相談をいただくこともあります。

私にできることは、決して大きなことではありません。

それでも、お話を聞くことはできます。

そして私自身の経験から、お伝えできることがあります。

無理に忘れなくていいと思います。

忘れる必要なんてありません。

ただ、少しずつ「ごめんね」よりも「ありがとう」を増やしてあげてください。

「うちの子になってくれてありがとう」

「一緒に過ごしてくれてありがとう」

「たくさん笑わせてくれてありがとう」

「ずっと大好きだよ」

そして、

「私は大丈夫だから、もう心配しなくていいよ」

そう伝えてあげてください。

大好きなご家族からその言葉を聞くことができたら、ペットちゃんもきっと安心して天国へ向かうことができるのではないでしょうか。

今なら、あの子に「ありがとう」と言えます

昔の私は、あの子に対して「ごめんね」という気持ちばかりでした。

でも今は違います。

もちろん、あの頃のことを思い出せば、今でも胸が痛むことがあります。

それでも、それ以上に伝えたい言葉があります。

「ありがとう」

あの日、歩くことも大変だったのに、私のところまで来てくれてありがとう。

私が気づくまで、ずっとそばにいてくれてありがとう。

何も求めず、ずっと大好きでいてくれてありがとう。

そして、ペットちゃんが家族に向ける一途な気持ちを、私に教えてくれてありがとう。

もしあの子との出来事がなかったら、私はこの仕事をしていなかったかもしれません。

今では、あの子への後悔だけを抱えているのではありません。

あの子が残してくれた大切なものを、今の仕事につないで行きます。

これまで5,000件以上のペットちゃんとのお別れに立ち会わせていただきました。

その一つひとつのお別れを、あの子も天国から見てくれているような気がします。

「今日もちゃんと、ご家族の気持ちに寄り添えたかな」

「この子を安心してお見送りできたかな」

そんなことを考える時、心のどこかにいつもあの子がいます。

姿を見ることはできません。

声を聞くこともできません。

それでも私は、あの子とのつながりがなくなったとは思っていません。

むしろ、あの子が天国へ旅立ったあとから始まったつながりもあるように感じています。

あの日、私のところまで一生懸命歩いてきてくれたあの子。

もしかすると今も天国から、

「ちゃんと見ているよ」

「頑張っているね」

と、あの頃と同じように私を見守ってくれているのかもしれません。

だから私はこれからも、天国のあの子に恥ずかしくない仕事をしていきたいと思っています。

ご家族が、

「この子をちゃんと見送ることができた」

と思えるように。

そしてペットちゃんが、

「この家族と一緒に暮らせて幸せだったよ」

と安心して天国へ向かえるように。

動物火葬ディレクターとして、一件一件のお別れを大切に、精一杯お手伝いさせていただきます。

仕事を終えた時、時々心の中であの子に報告します。

「今日も、大切なお別れのお手伝いをしてきたよ」

「あなたが教えてくれたことを、今日も大切にしたよ」

きっとあの子は、天国からいつものように静かに私を見てくれている。

私は、そう思っています。

あの日、私のそばまで歩いてきてくれて、本当にありがとう。

そして今も、天国から見守ってくれてありがとう。

熊本ペットの訪問火葬メモリーズでは、ご自宅までお伺いし、大切なペットちゃんのお見送りをお手伝いしています。