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2026.08.22
コラム記事
猫ちゃんを保護するということ――ご家族から聞かせていただいた現実
これまでメモリーズでは、たくさんの猫ちゃんとご家族のお別れに立ち会わせていただきました。
その中には、行き場のなかった猫ちゃんや、外で暮らしていた猫ちゃんを保護し、長い年月をかけて大切に育ててこられたご家族もいらっしゃいます。
お見送りの時間に、その猫ちゃんとの出会いや思い出を聞かせていただくことがあります。
そして、お話を伺っていると、
「猫ちゃんを保護して一緒に暮らす」ということは、優しい気持ちだけでは続けられないほど大変なことなのだ
と感じることが何度もありました。
今回は、これまでメモリーズが実際にご家族から聞かせていただいた、保護された猫ちゃんたちとの暮らしについて書きたいと思います。
保護したら、それで終わりではありません
外で暮らしていた猫ちゃんを見つけ、
「このままでは心配だから」
「何とか助けてあげたい」
そんな思いで自宅へ迎えられるご家族がいらっしゃいます。
けれど、猫ちゃんを保護することは、その子を家の中へ入れてあげれば終わりというわけではありません。
そこから、ご家族の新しい生活が始まります。
動物病院へ連れて行き、健康状態を確認する。
必要であれば治療を受ける。
避妊・去勢手術をする。
怪我をしていれば、その治療も必要になります。
一匹であればまだ対応できても、保護する猫ちゃんが増えてくると、病院へ行く回数も費用も増えていきます。
実際にご家族から、
「病院代が本当に大変なんですよ」
と聞かせていただいたこともあります。
それでも、
「この子たちを放っておくことはできないから」
とお世話を続けておられました。

猫ちゃん同士にも相性があります
何匹もの猫ちゃんを保護されているご家庭では、もう一つ大きな問題があります。
それが、猫ちゃん同士の相性です。
人間にも性格があるように、猫ちゃんにもそれぞれ性格があります。
おっとりした子。
気の強い子。
怖がりな子。
ほかの猫ちゃんが大好きな子。
反対に、一匹で静かに過ごしたい子。
一緒に暮らしていても、どうしても性格が合わないことがあります。
無理に同じ場所で生活させると、お互いにストレスになったり、喧嘩になって怪我をしてしまったりすることもあります。
そのため、保護されているご家族の中には、猫ちゃんたちの相性を見ながら生活する部屋を分けている方もいらっしゃいました。
一つの部屋では足りず、複数の部屋を猫ちゃんたちのために使っているご家庭もあります。
病気によっては別々に生活させなければならないことも
そして、さらに気をつけなければならないのが病気です。
保護された猫ちゃんの中には、ほかの猫ちゃんへの感染に注意しなければならない病気を抱えている子もいます。
すでに何匹もの猫ちゃんが暮らしている家へ新しい子を迎える場合、その子だけでなく、先に暮らしている猫ちゃんたちのことも守らなければなりません。
そのため、病気や体調によって生活する場所を分ける。
食器やトイレなどにも気を配る。
動物病院の先生と相談しながらお世話をする。
ただご飯をあげるだけではありません。
一匹一匹の健康状態を見ながら生活環境を整えていく必要があります。
猫ちゃんのために小屋まで建てたご家族
これまでお話を聞かせていただいた中には、猫ちゃんたちのために専用の小屋を建てたご家族もいらっしゃいました。
最初から、そこまで多くの猫ちゃんと暮らす予定だったわけではないと思います。
一匹を保護し、また困っている子と出会い、少しずつ増えていく。
しかし猫ちゃん同士の性格や病気などを考えると、全員を同じ場所で生活させることが難しくなります。
そこで部屋を分ける。
それでも足りなくなり、猫ちゃんが安心して過ごせる場所を作る。
そのために、小屋を建てる。
当然、費用もかかります。
小屋を建てれば終わりではなく、暑い夏や寒い冬をどう過ごさせるのかも考えなければなりません。
毎日のご飯。
猫砂。
病院代。
避妊・去勢手術。
怪我や病気の治療。
そして生活するための設備。
一匹一匹を守ろうとすればするほど、ご家族が背負うものも大きくなっていきます。

「猫を飼っている家だから」と置いていかれることも
そして、これまで聞かせていただいたお話の中で、特に考えさせられたことがあります。
たくさんの猫ちゃんを保護していることが周囲に知られるようになると、
家の前に猫ちゃんを置いていかれることがある
というお話です。
誰が置いていったのか分からない。
気づいたら、そこに猫ちゃんがいる。
「この家なら猫を飼っているから何とかしてくれるだろう」
そんな考えがあったのかどうか、本当のところは分かりません。
けれど、その猫ちゃんを目の前にしたご家族は、簡単に見捨てることができません。
そして、また一匹を迎えることになります。
その一匹にも、ご飯が必要です。
病院へ連れて行く必要があります。
避妊・去勢手術が必要になることもあります。
ほかの猫ちゃんとの相性を確認し、病気についても気をつけなければなりません。
「一匹くらいなら」
置いていった人は、そう考えるのかもしれません。
しかし、その一匹の命を引き受けるということは、その先の何年、十何年という生活まで引き受けることでもあります。
優しい人に負担が集まってしまう
保護されているご家族のお話を聞いていると、いつも感じることがあります。
それは、
猫ちゃんを助けたいという優しい気持ちを持った人ほど、大きな負担を抱えていることがある
ということです。
猫ちゃんを見つけたら放っておけない。
病気なら病院へ連れて行く。
性格が合わなければ部屋を分ける。
感染の心配があれば生活する場所を分ける。
場所が足りなければ猫ちゃんのための環境を作る。
そうして、一匹一匹を守っておられます。
外から見れば、
「猫がたくさんいる家」
なのかもしれません。
けれど、その家の中には、私たちには見えない毎日の努力があります。
お見送りの時に分かる、その子が歩んできた時間
メモリーズがお伺いするのは、その猫ちゃんとの最後のお別れの時です。
そこでご家族から、その子のお話を聞かせていただきます。
「この子は外にいたんですよ」
「保護した時は小さかったんです」
「最初は人を怖がっていました」
「ほかの猫とはなかなか仲良くできなくて」
そんなお話を聞きながら、その猫ちゃんが今日までどのように暮らしてきたのかを知ることがあります。
外で暮らしていた一匹の猫ちゃんが誰かに見つけてもらい、保護され、病院へ連れて行ってもらい、ご飯をもらい、安心して眠れる場所をもらう。
そして何年もの時間を家族として過ごし、最後は大好きなご家族に見守られながら旅立っていく。
その背景には、ご家族にしか分からない苦労がたくさんあったのだと思います。
「保護する」という言葉の向こう側
「猫ちゃんを保護しました」
言葉にすると、とても短いものです。
けれど、その一言の向こう側には、毎日のご飯や掃除、病院への通院、避妊・去勢、怪我や病気の治療、猫ちゃん同士の相性への配慮、部屋や設備の確保など、長く続いていく生活があります。
そして何より、
その子の一生を最後まで見守るという覚悟があります。
メモリーズでは、お見送りの時間を通して、そんなご家族のお話をたくさん聞かせていただきました。
私たちは保護活動のすべてを知っているわけではありません。
実際に毎日猫ちゃんたちのお世話をされている方にしか分からない苦労も、たくさんあると思います。
だからこそ、ご家族から聞かせていただいたお話を大切にしたいと思っています。
一匹の猫ちゃんが安心して眠っている、その何気ない光景。
その裏側には、その子を守るために時間を使い、お金を使い、場所を作り、毎日お世話を続けてきた人がいます。
そして最後のお別れの日まで、
「この子を家族として守ってあげたい」
という気持ちは変わりません。
これまでたくさんのお見送りに立ち会わせていただく中で、私たちはそのことを何度も教えていただきました。
猫ちゃんを保護するということ。
それは一つの命を助ける瞬間だけではなく、その命と一緒に長い時間を歩いていくことなのだと思います。
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