ペットちゃんとの「さよなら」。死期の近い犬が見せる行動や、飼い主さんができること

ペットちゃんとの「さよなら」。死期の近い犬が見せる行動や、飼い主さんができること

 

人生のパートナーであり、親友でもあり家族でもあるペットちゃんとの別れ……。

犬の平均寿命はおよそ14歳といわれていますが、頭では理解していても、いざ寿命が近づいてくると胸が苦しくなってきますよね。

 

天寿をまっとうするペットちゃんは、死期が近くなると、今までとは違った行動をするようになります。

見送るのはつらいですが、死期が迫っていると感じたら、今まで以上にやさしく寄り添ってあげてください。

 

 

死期が近いペットちゃんが見せる行動7つ

 

死期が近づいたペットちゃんは、年老いた人間と同じような行動をしがちです。

以下に紹介する兆候が見られたら、つらいですが、心の準備をしておいたほうが良いでしょう……。

 

動きが弱々しくなる

 

人間と同じように、犬も歳を取ると関節や筋肉が衰えてきます。小さな段差や階段がうまく上れなくなったり、歩くスピードが遅くなったり、散歩に行くのを嫌がるときもあるでしょう。

症状がすすむと寝たきりになったり、「骨関節炎」という疾患を発症したりすることがあります。

 

食欲がなくなる

 

年老いた犬は、筋肉だけではなく内蔵の働きや代謝なども衰えていきます。

食欲がなくなっていくため、飼い主さんは心配になるでしょう。

 

犬が自分で死期を悟った場合、一切何も口にしなくなることも珍しくありません。犬によっては、1週間以上何も食べなかったというケースも報告されているほどです。

しかしこれは、犬なりの“死の準備”。あえて自分を断食状態にすることで内蔵機能をストップさせて、ゆっくりと死への準備をすすめていくのだそうです。

その間、ペットちゃんはどんどん痩せていきます。心配で心配で、動物病院へ駆け込む飼い主さんも少なくありません。でも「食べない」という選択をしたのは、犬自身……。無理に延命させるよりも、ペットちゃんの気持ちを尊重して、ゆっくりと見送ってあげるのもやさしさではないでしょうか。

 

寝ている時間が長くなる

 

運動量の減少にともない、ペットちゃんは寝ている時間が長くなります。

高齢犬の場合、「このまま亡くなってしまうのでは」と心配になりますよね。

 

しかし、死が迫った犬にとっては、とても幸せな時間。

ゆっくり心と体を休めることで、旅立ちの準備を整えているのです。

ペットちゃんが穏やかに眠っているなら、ぜひそっと見守ってあげてください。

 

トイレの失敗が増える

 

高齢による筋力の低下にともない、トイレの失敗が増えるようになります。

トイレまで行ける体力が残っていないため床で粗相をしてしまったり、脚を支えきれずにおしっこを中断してしまったり……。

片づけは大変ですが、決して叱らず、必要に応じて介助をしたりオムツを履かせたりして対処しましょう。

 

呼吸のリズムが乱れる

 

死期が迫った犬の呼吸は、不規則になりがちです。

「さっきまでハッハッと短く浅い呼吸だったのに、急にゆっくりと深い呼吸になった」など、近くにいると変化に気づくことがあるでしょう。

 

呼吸は命にかかわることなので動物病院に駆け込みたいところですが、死期が近づいた犬の呼吸の変化は、病院の治療で改善できるものではありません……。無理に病院に連れていかずに、毛布などで体をあたためてあげながら、側にいてあげましょう。

 

呼びかけても反応するのが遅い

 

老化にともない、犬の聴力も低下を始めます。

「〇〇ちゃん」と声をかけても、まるで聞こえてないかのように振る舞うときもあるでしょう。

これは、犬に残された体力が少ないことを表します。反応したくても、反応できるだけの力がもう残っていないのです。

このような状態のまま自然界で生きるのは危険ですが、今ペットちゃんがいるのは、大好きなあなたが居る場所。死を穏やかな気持ちで迎えようとしている証拠でもあるので、何度も呼び掛けたり触ったりしないようにしてくださいね。

 

いつもと違う行動をするようになる

 

聴覚、視覚、嗅覚……死期が迫った犬は、あらゆる機能が低下してきます。体温まで下がってくると、お別れの時はそう遠くなさそうです……。

 

犬によっては、死への不安から、いつもと違う行動をすることがあるようです。たとえば、今まで寝たきりだったのに動き回ったり、大声で吠えたり、極端に甘えてきたりなど。

 

これらは、犬が漠然とした不安に包まれているサインです。

「もうじき僕は死ぬんだ。怖いよ」と家族に助けを求めているので、撫でたり声をかけたりして、できるだけ側にいてあげてください。

 

 

気づけるのは、飼い主さんしかいない

 

死期が迫った犬は、行動にいくつかの共通点があります。

中には、むやみに対処せずにそっとしておいたほうが良いものもあるので、病気との区別がつけにくいこともあるでしょう。

 

病院にいく目安としては、以下の通りです。

一つでも該当することがあったら、動物病院を受診することをおすすめします。

ただし、ペットちゃんの様子を見ながら、無理をしない範囲で。

 

・1日以上おしっこが出ていない

・体が熱い(38℃~39℃は平熱)

・体が冷たい

・呼吸が荒い

・痙攣する

・目の焦点が合わない

 

 

死期が迫った犬に、飼い主さんが出来ることは?

 

犬も、人も、命ある限り「死」はいつか訪れるものです。

でも、愛犬が旅立っていくのを見守るのはとてもつらいですよね……。

「無理はさせたくない、でも自分にできることはないの?」

そんな葛藤を抱える飼い主さんに、“できること”を3つお伝えします。

 

抱っこして日光浴

 

今まで散歩が大好きだった犬でも、死期が迫ると思うように体を動かせなくなります。

そんなペットちゃんのために、飼い主さんが抱っこで散歩に連れて行ってあげましょう。

 

天気の良い日に、抱きかかえて、楽しくお散歩。

日差しの温かさや外の空気だけで、ペットちゃんはだいぶリラックスできるはずです。

意識は朦朧としていても、「大好きな飼い主さんが外に連れて行ってくれた」とうれしく感じるでしょう。

 

なお、抱っこが難しい犬種の場合は、ペットカートを使うのがおすすめですよ。

 

口に水分を入れてあげる

 

死期が迫った犬は、自分の意志で飲食を拒むことがあります。

飼い主さんは心配に感じますが、これは犬が死を受け入れようとしている証拠なので、無理に食べさせずに自然の流れに任せましょう。

 

ただ、口の中が乾くと呼吸に影響が出ることが。呼吸がつらそうであれば、湿らせたタオルやコットンをペットちゃんに咥えさせたり、そっと歯茎に水を数滴垂らしたりしてください。

 

できるだけ一緒に居てあげる

 

死期が近づくにつれて、犬のさまざまな機能は低下します。

特に視覚に関しては、かなり早い段階でほとんど機能しなくなるそうです。

 

しかし、飼い主さんに対する「大好き」の気持ちは、どれほど体が衰えてもずっと残るはず。

ペットちゃんが反応できなくても、まったく動けなくても、最後まで名前を読んだり体を撫でたりしてあげましょう。

 

大好きな飼い主さんが側にいてくれる……。それだけでペットちゃんは穏やかに旅立てます。

自分の死を悟ったペットちゃんは、不安や恐怖を抱えることがあるかもしれません。しかしあなたの存在が、すべてを消し去ってくれるのです。飼い主さんにとってペットちゃんが最高のパートナーであるように、ペットちゃんにとっても飼い主さんはこの世で一番の存在。あなたが側にいてくれる、見守っていてくれる……それだけで、ペットちゃんは幸せな気持ちでお空へ向かえるでしょう。

 

 

 

まとめ

 

人も、犬も、命あるものにはいつか「死」が訪れます。

見送るのは心が張り裂けそうなほどつらいですが、きっとペットちゃんも「あなたと離れるのはつらい」と思っているかもしれませんね。

 

だから、最後の瞬間まで、できるだけ側にいてあげてください。そして声をかけてあげてください。

ペットちゃんが大好きだった、いつものあなたの笑顔で。

 

「ありがとう」、そして「虹の橋でまた会おう」。

メモリーズコラム